税務調査の時、何故ダメといわれる?
=納税者以外の聞き取りに注意=
税務調査において、調査官が納税者の家族に直接質問してくることがあります。
よくあるケースは、役員報酬や専従者給与の⽀払がある者に対して、実際の勤務状況を聞いてくることです。
ここでは、その専従者給与に関する調査官の聞き取り例を挙げてみましょう。
●専従者給与について調査官からの聞き取り例
調査のさなか、調査官が勤務中の従業員に歩み寄りました。申告書に専従者として記載されている代表の奥さんについて聞きたいようです。次のような質問をしました。
やり取りその①
調査官・・・・・
「お疲れさまです。いつも奥さんはどういった事をされているんですか?」
従業員・・・・・
「え、奥さんですか?⾒たことありませんけど…。」
税理⼠(⼼の声)・・・・・
『! あまりよろしくない返答だけど、でもまだ⼤丈夫。“試合” はまだ終わっていません。(イエローカードものだけど…。)後で『⾃宅で帳簿や総務全般の業務、ネット等を活⽤して経営戦略をしていると反論しよう。』
とはいうものの、少し雲⾏きが怪しくなってきました…。
次に、調査に⽴ちあっていた代表の奥さん(専従者)に直接話しかけました。
やり取りその②
調査官・・・・・
「参考までに教えてください。奥さんは事業所でどういったお仕事をされていらっしゃるんですか?」
奥さん・・・・・
「え、別になにもしていませんけど…。」
税理⼠(⼼の声)・・・・・
『!!『専従者』が「何もしていない」なんて⾔わないで!この返答は⼀発レッドレベル。もうほぼアウトなケースだ…。
やり取りその③
調査官・・・・・
「でもお給料は、いただいていらっしゃいますよね。」
奥さん・・・・・
「ええ?そうなんですか?よくわかりません〜。」
税理⼠(⼼の声)・・・・・
『ダメ押し!アウト!試合は終了してしまいました。これは⼤変。反論するのが難しい。否認される可能性が⼤きい…。』
実際に、従業員と専従者である奥さんに⼀緒に聞き取りするケースはあまりありませんが、
ひとつの流れとしてまとめて例⽰させていただきました。
実際の事例としましては、調査官が直接奥さんに電話して聞取りをしてきたということや、奥さんだけを税務署に呼び出して聞き取りをしようとしたこともあったようです。
このやりとり例のように、調査官の聞き取りによって思わぬ事実が発覚し問題が発⽣することは⼤いにあり得ます。調査官からの質問には必ずなにかを探ろうとする意図が隠されています。思いがけない質問にも『なにを聞きたいんだろう』と冷静にキチンと対処できるよう、内部で事前に打ち合わせや再確認を⾏うようにしましょう。
=実態が伴わないとダメ!=
税務調査では、基本的に納税者の同意・承諾なしに納税者以外への質問は許されていません。
これも質問検査権の範囲外です。ただ、給料等の受給者には、その⽀給状況を確認する権利はあるようです。
上記の例も専従者本⼈に対して給料の⽀給状況を質問されるのは仕⽅がありませんが、従業員にその本⼈への給料⽀給状況以外のことは質問出来ませんので、本当は従業員に専従者(奥さん)の事を質問することは許されていません。
ただ、ここでの問題は、専従者の勤務実態についてです。
専従者給与は、帳簿で正確な給料⽀払いの処理をして、またその源泉所得税をきちんと⽀払っているからと⾔って、それだけで事業主の経費として認められる訳ではありません。
専従者給与には、何点かの要件がありますのでご注意ください。注意点等は次回に。
・2015年7月17日 配信
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