65才以上の方が受け取る遺族年金について
以下、夫が亡くなって遺族厚生年金を受け取ることが出来る妻が自分自身でも受け取れる老齢厚生年金がある場合を仮定してお話ししてまいります。
A.受け取れる遺族年金は?
平成19年3月までの受け取れる年金額は妻自身の老齢基礎年金に加え、下記1~3のうち最も多い金額が選択支給されました。
1.妻の老齢厚生年金
2.夫の遺族厚生年金(夫の老齢厚生年金の3/4)
3.上記1.の金額×1/2+上記2.の金額×2/3
しかし、平成19年4月に以下のとおりに改正がありました。妻自身の老齢基礎年金に下記の金額をいずれも加えた金額が支給されるようになりました。(老齢基礎年金は平成26年4月分以降、満額で年772,800円)
・上記1の妻の老齢厚生年金を優先的に支給する
・上記1の金額が、上記2または3のうちいずれか多い金額よりも少ない場合、その差額
という改正がありました。受け取る年金額だけを見ますと改正前と後では特に変わりがありません。
では、何が変わったかと言うと… 所得税です!!
B.受け取れる年金に対しての所得税は?
まず、遺族年金に対しての所得税は非課税であることを前提として話しを進めてまいります。
仮に受け取れる年金額が、妻の老齢基礎年金+上記2(夫の遺族厚生年金)が一番多く受け取れる場合ですと、
平成19年3月までの算式ですと、課税対象は「妻の老齢基礎年金のみ」となりますが、
平成19年4月以降の算式ですと、課税対象は「妻の老齢基礎年金+上記1の妻の老齢厚生年金」が課税対象になってきます。
よって、税金上では改正前と後では上記1の妻の老齢厚生年金部分が増税部分になったということになります。
この改正の理由が「もともと妻がもらえるべきであった年金に課税されないのはおかしいのでは?」という事がきっかけだったらしいですが…。
・2015年6月23日 配信
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