お役立ち情報

税務調査消費税編

⼀般に、法⼈税や所得税の調査と並⾏して⾏われます

 

 

法⼈税や所得税の調査で、売上計上漏れや経費否認が指摘されることがあれば、法⼈税・所得税の修正と同時に、消費税も修正となるケースが多いです。

 

 

(1)消費税の課税・⾮課税の確認

所得の計算では経費になったとしても、消費税の計算では税⾦がかかる(仕⼊税額控除ができない)場合があります。⾮課税仕⼊を課税仕⼊として処理していた場合などです。これに関しては専⾨的な知識が必要になります。通常は顧問税理⼠が処理して計算していますので、⼤きな問題が⽣じる事は少ないでしょう。

 

 

(2)税⾦が還付される職権更正
消費税は否認されたけど、その分の法⼈税が安くなる場合があります。たとえば、会社が旅費交通費として21 万円を課税仕⼊として、旅費交通費20 万円・仮払消費税1 万円として税抜処理していたとします。

しかし、この21 万円が、海外出張航空代⾦だったら、不課税仕⼊に該当すると指摘され、消費税の修正申告をして消費税の追徴税1 万円を納付することになります。

消費税の修正申告に伴って、会社の利益計算では、旅費交通費が20 万円から21 万円に増え、会社の利益が1 万円少なくなります。このように、会社の利益が減少すると法⼈税の課税所得額が減少し、納めすぎた法⼈税額を返してもらう必要があります。

税務調査において否認事項が指摘され、消費税を修正申告したために法⼈税が過⼤となったときは、税務署⻑が職権で法⼈税の更正処分をすることとなります。

 

 

(3)消費税の仕⼊控除要件である帳簿保存の重要性
所得の計算では実質課税が原則ですが、消費税については形式要件も適⽤されますので、請求書および領収書の保存がないと、思わぬ消費税を課されることがあります。

つまり実際には仕⼊や経費の⽀払い時、当然消費税も⽀払っているのにもかかわらず請求書等を保存していなかっただけで、その⽀払った消費税が認められずに多額の消費税を追徴されることになるかもしれません。

 

 

(4)多額の還付申告をした場合
多額の貸倒損失や多額の設備投資を計上した場合は、多額の消費税が還付になることがあります。
税務署は税⾦を取るのは⼤好きですが、返すのは嫌いなようで多額の還付申告をした場合は、調査にくる可能性が⾼くなります。
ただこの場合、還付になった内容をピンポイントで確認するだけで終わることが多いようです。

税務調査人件費編

税務署は疑うのも仕事ですから、架空⼈件費がないかは必ずチェックしてきます。

 

 

■事前に準備しておく書類

・ 源泉徴収簿

・ 給与計算の控え 給与明細控え等

・ タイムカード・出勤簿

・扶養控除等申告書

・総会議事録(役員給与の改定決議や事前届出給与、退職⾦⽀給)

 

 

■調査官はココを⾒る

① 架空⼈件費計上の有無

② 役員等に対する個⼈的費⽤の負担はないか

③ 過⼤な役員報酬、役員退職⾦の⽀給

④ 役員報酬の⾦額を期中で変動させてないか?

⑤ 源泉所得税関係の処理が適正であるか?

⑥ 現⾦⽀給か振込みか?

 

 

■調査の際の注意点

① ⼊退社などの⼈の異動はきちんと管理しておき、説明できることが必要になります。

② 給与⽀給明細書と源泉徴収簿の整合性。うっかりミスも調査官は悪意に解釈しますよ。

③ タイムカードの出退勤時刻が、毎⽇特定の⼈と同じな場合は疑いをもたれる。

④ 会社、役員間の取引や福利厚⽣費、交際費、旅費交通費、雑費に役員報酬、役員賞与的な内容が含まれているかの確認や決算賞与の⽀給が適正であるか?

 

安易な架空⼈件費の計上は、まず発覚します!
架空⼈件費は発覚する確率も⾼く、その後のペナルティーの重さを考えると、するべきではありません。重加算税を課され多額の追加税⾦を払い、また税務署に悪質な会社として履歴が残り、その後の税務調査の頻度も多くなります。

税務調査官はこんな風に調べる!?

=主な勘定科⽬別に分類すると次のようになります=

 

(1)売上

・ 納品書及び請求書どおり売上計上されているか、帳簿との照合を⾏います。

・ 作業⽇報・納品書等の原始資料をチェックして、請求書そのものを疑ってきます。

・期末の〆⽇以降の売上が売上計上されているか売掛⾦のチェックをされます。

 

 

(2)仕⼊及び外注費

・ 請求書及び領収書等と帳簿の照合を⾏います。

・ 売上との対応、在庫との対応をチェックします。

・通常は振込なのに、たまに現⾦⽀払いがあると必ずチェックされます。

・外注先が個⼈の場合は、実態は雇⽤関係であり実は給与ではないかと疑われます。

・在庫は期末の仕⼊(納品書)および売上(納品書)から計上漏れがないか確認されます。

 

 

(3)福利厚⽣費

・⾦額が⼤きいものや、回数が多いものなどは、スケジュール表の確認、参加者の確認、旅⾏業者等への反⾯調査などをしていきます。

・従業員に対する給与に該当するものがないかを確認されます。

 

 

(4)接待交際費

・個⼈的な⽀出がないかが必ずチェックされます。

・1 回の⾦額が⼤きいものについて個別に内容を確認されます。
収⼊を得るために必要な⽀出であったことを説明できるように準備しておきましょう。

・また他の科⽬に交際費となる⽀出が含まれていないかもチェックされます。

 

 

(5)⼈件費

・重要ポイントですので、次回ご説明します。

 

 

(6)広告宣伝費

・⽀出が当期の費⽤として妥当か、⽀出の効果が来期以降に及ぶものでないかを確認されます。来期以降に効果があるものは、原則として前払費⽤となります。

 

 

(7)保険料

・保険契約の内容を確認され、資産計上すべきものがないか、役員や従業員の給与に該当する部分がないかチェックされます。

・個⼈の場合などは、個⼈の社会保険料や⽣命保険料が混⼊していないかチェックされます。

 

 

(8)消耗品費

・資産計上すべきものがないかをチェックされます。これは他の科⽬についても同様です。

 

 

(9)修繕費

・修繕費のなかに、資本的⽀出が含まれていないかをチェックされます。

・固定資産に改良を加え、機能を向上させるような20 万円以上の⽀出は修繕費ではなく、資本的⽀出となります。通常の維持管理のための修繕⽀出であることを説明できるように社内の稟議書、業者からの修繕⾒積書などの記載には注意しましょう。

 

 

(10)諸会費
・諸会費のなかに交際費に該当するものはないかなどがチェックされます。社交団体やロータリークラブ、ライオンズクラブなどの経常会費は原則として交際費として扱われます。

・仕⼊税額控除の対象となる⽀出であるかどうかもチェックされます。

 

 

(11)雑費

・雑費に⼤きな⾦額が計上されている場合は内容の確認をされます。

 

 

(12)雑収⼊

・飲料等の⾃販機収⼊や作業くずなど、付随収⼊の計上漏れはないかなどチェックされます。

 

 

(13)役員借⼊⾦・多額の移動がある場合は資⾦の流れを聞いてきます。

・所得計算に関係がなければ、特に説明する必要はないと思います。また、個⼈の通帳を⾒たいと⾔ってくる場合がありますが、法⼈税の調査ですから基本的に⾒せる必要はありません。

税務調査事前準備 パソコン編

=備えあれば憂いなし!=
『パソコンの閲覧は強制ではありません』ですが、もしもの場合に備えて準備をしておきましょう。

 

 

(1)事前に、あらぬ嫌疑をかけられる様なものは整理しておきましょう。
パソコンのデータは必ず名前をつけて保存をするシステムになっています。

パッと⾒て、あからさまに「これは怪しい…」と思われるような名前は避ける、もしくは他の場所に移動させるなどしておきましょう。
(2)『ゴミ箱』の中⾝は整理しておきましょう。
意外と盲点なのが、『ゴミ箱』です。Windows やMacintosh といったパソコンの⼤半は、⼀度データを削除しただけでは完全に消えないシステムになっています。これは、誤操作によるファイル消失を防ぐ為の仕組みです。

完全に削除するためには、ゴミ箱の上にカーソルを置いて右クリックをし『ゴミ箱を空にする』という作業を⾏う必要があります。
※厳密に⾔いますと、実はこれだけでは“ 完全に” 削除されていません。しかし、対税務調査対策ならばこれで全然問題ないでしょう。
税務調査前に、「これはやばい…」というファイルを削除した場合、その全てはまず『ゴミ箱』にプールされます。そして、そのまま忘れてしまった場合、『ゴミ箱』内にやばいファイルが⼀堂に会しているという当初の⽬的とは真逆の状況に…。これはやばいですよね。
『ゴミ箱』が空になっているかどうかは、デスクトップにあるアイコンで確認することが出来ます。
⽬視して空っぽになっていない場合は、空にしておくことをオススメします。
(3)『最近使ったファイル』も整理しておきましょう。
パソコンには、つい最近みたデータがすぐにわかるように『最近使ったファイル』という機能があります。何度も同じデータを開いたりする時にはとても便利な機能なのですが、調査の場合には少し迷惑な機能となってしまいます。
なぜならば、税務調査直前に会社の⼈間がみていたデータが⼀⽬瞭然となるからです!さらに、この履歴は10 秒もあれば⼗分にざっと⽬視することが出来ます。「データを削除する前に、⼀度データを覗いてから…」と思い、確認しながら作業を⾏った場合、その覗いた履歴がバッチリみられてしまいます。

 

もし、都合の悪い履歴を⾒られたとしても直接的な問題はありませんが、調査官に悪い⼼証を与え『あぁ、ここはそういうことを考えている会社なのか…。ならばよりきっちり⾒ないといけないな。』などと思われてしまうと少し⾯倒なことになるかもしれません。
⾒られて問題のないデータばかりならば⼤丈夫かと思いますが、個⼈情報流出阻⽌という観点からも、「事前に履歴を削除しておく」「別のファイルを意図的に開いて履歴を⼊れ替えておく」等の対策をしておいた⽅が良いかもしれません。
また、インターネットも閲覧履歴が残るものの⼀つです。他社のパソコンから無断でブラウザ(インターネット閲覧ソフト)を開くのは結構な度胸がいりますので、あまり問題ないかと思いますが、『お気に⼊り』等ならばその気になれば覗くことは出来ます。

もし気になるようなことがありましたら、削除やデータの移動等を⾏っておいてもいいのかもしれません。

 

さらに、ワードやエクセルのファイルはプロパティから作成⽇時や更新⽇時などがわかってしまいます。調査前にあわてて過去の⽇付の念書や契約書、議事録などを作成した場合、ファイルを残していると、そのような実態も発覚してしまいます。

どこかの政党の幹事⻑が、「⼟地の実質所有者に関する念書」を、記者会⾒前に過去の⽇付で作成した事がファイルの⽇付から明らかになったというような格好の悪いことが最近ニュースになっていましたね。気をつけましょう。
(4)会計ソフトのデータにも注意が必要です。
最近の会計ソフトなども取り扱いに注意が必要です。振替伝票の番号などは⾃⾝で⼊⼒しない場合は⾃動付与されるので、期末付近での⼊⼒分は⼤きな番号になってきます。

 

期⾸に近い取引の仕訳に⼤きな番号が付与されていてはおかしいですよね。決算間際に⼊⼒したと思われてしまいます。

 

また、データを⽇付順でなく⼊⼒順に置き換えるようなこともできるので、それをすると決算でいろいろ決算調整したような内容が⼀⽬瞭然になりますね。

 

この対処法として、⽉末にダミーで諸⼝勘定で数値ゼロの伝票などを少し⼊⼒しておいて、決算時にはこの伝票を使って⼊⼒する。余った伝票は削除してしまうなんてことが考えられないではありませんね。

会計データをソフト上に保存しておく義務はないので、仕訳番号が印刷されない⽅法で振替伝票と総勘定元帳を印刷してしまい、データは削除してしまっても問題ないですね。なんとなく疑いの⽬で⾒られるかもしれませんが、データを⾒てあれこれ⾔われるよりはいいかもしれません。

 

 

決して仮装隠蔽を勧めるものではありません。つまらないことであらぬ疑いをもたれるのは避けたいということと、データ取扱上の事実を事実としてお伝えいたしました。

税務調査事前準備 書類編

⼀般的に⽤意しておくべき資料

 

(1)総勘定元帳、伝票、帳簿

・付箋やメモが貼ったままになっていませんか?もしそうならばはずしておきましょう。

 

(2)請求書、領収書、振込みの控

・付箋やメモは⼤丈夫ですか?書き損じ分も捨てないで保管しておきましょう。

・請求書は、⽇報等の原始記録との整合性に注意しましょう。

・カード⽀払で利⽤明細⼀覧しかなく領収書がない場合は、使途をメモしておきましょう。

 

(3)源泉徴収簿、扶養控除等申告書、給与台帳、タイムカード、出勤簿

・⼈件費は別項で説明します。

 

(4)在庫棚卸表

・当たり前ですが、決算書の⾦額とあっていますか?

 

(5)預⾦通帳、⼩切⼿帳の控え(ミミ)

・変なメモ書きはありませんか?書き損じも綴じていますか?

 

(6)各種契約書

・収⼊印紙は必ずチェックされます!

 

(7)各議事録

・議事録の⽇付は、事実と整合性がとれていますか?

 

 

事前に顧問税理⼠と打合せ・リハーサルなどしておくとよいでしょう。上記の事前準備で、重加算税を課されるような重⼤なミスを発⾒した場合や、もともと決算時に安易な租税回避⾏為をしていた場合は、通常は簡単に発覚します。
もし、税務調査の申⼊れがあり、重加算税の可能性が⾼いと⼼配されるようならば調査実施までに⾃主修正申告することで重加算税は回避することが出来ます。(国税通則法65-5、不服審判決裁S57.3.26 より)

 

調査の実施⽇が決まってからでも実際に調査が⾏われるまでに修正申告をすれば、法律上重加算税は課されません。

税務調査はいつ頃くるのか?

=税務調査の年間スケジュール(4 ⽉〜3 ⽉)=
■4 ⽉〜6 ⽉
3 ⽉後半から、確定申告の終了とともに、調査の連絡が⼊り始めます。そして5 ⽉末ごろまでには調査の連絡はなくなり、税務署が会社に出向いての調査は6 ⽉の初めごろにはなくなります。

 

公務員は、⺠間会社と違って、景気に左右される事なく、この時期に確実に賞与が⽀給されます。

 

税務署員もいっぱいボーナスをもらって余暇を楽しむから、調査を休⽌するんですかね?

真偽はともかく、よく⾔われる理由は、7 ⽉10 ⽇が税務署員の全国⼀⻫異動⽇にあたるからのようです。

 

だいたい6 ⽉中には、調査事案を締め切って報告をまとめる必要があります。
6 ⽉初めごろまで、指摘事項で揉めていると、税務署は急に結論を急いで納税者に有利な妥協案を出してくることがよくあります。いままでの交渉はなんだったんだろう?と感じる時もあります。

 

どんな業界でも締め切り⽇には厳しいんですね。

 

 

■7 ⽉〜12 ⽉
引越しも落ち着いて、7 ⽉後半から、調査の連絡が⼊りはじめ、税務署の新体制での調査が始まります。そして、9 ⽉から11 ⽉にかけて、税務調査の本格的なシーズンになります。

1 年の中で税務署が最もじっくり調査が出来る時期です。この時期の調査は春先の調査に⽐較すると、調査官も腰を据えてきます。でも、普通に決算して申告されている⽅は、春も秋も関係ないですね。

そして、12 ⽉中頃には、年内の調査は終了します。

 

 

■1 ⽉〜3 ⽉
年が明けて、1 ⽉、2 ⽉にもポツポツ調査があります。そして2 ⽉16 ⽇から個⼈所得税の確定申告が始まり、税理⼠は⼀年で最も忙しい時期になります。

ほとんどの良識ある調査官は、この時期は税務調査を⾃粛して控えます。
しかし中には“ 空気が読めない” 調査官がいて、税務調査の連絡が⼊ることもあります。社⻑さんには特に関係ないのに申し訳ありませんが、顧問税理⼠の時間的な事情で調査⽇を延期させていただくことも多いようです。

 

7 ⽉10 ⽇の異動⽇は税務署の決算みたいなものです。税務署員は、税務署⻑も含めて、2年から3 年で異動になります。

 

万が⼀、この時期までに調査の決着がつかないと、税務署の決算に⽀障をきたすことになるようです。例外はありますが、1 ⽉決算法⼈までの会社の調査は、この時期にはだいたい終わります。

 

以上のような理由で、『春先の調査より、秋の調査に注意せよ!』とよく⾔われるようです。

税務調査官と話が弾んだだけでこうなるかも!?

世間話も調査対象!?社⻑さんの不⽤意な発⾔に注意!

 

 

調査官は、世間話もマニュアルのうちです。調査官は社⻑さんと親しげに話をしながら、何か決算に誤りや漏れがないか、探っています。
過去にこんな『在庫計上漏れ』の事例がありました。
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とある建設会社に税務調査が⼊りました。調査も2 ⽇⽬が終わり、特に指摘事項もなく、帳簿類の調べも終わったので、最近の⼀軒家の建築資材の質の話をしていた時のこと…。

 

何気なく社⻑が、

「うちはもっと良い⽊材使ってるよ。

前の置場とは別に3 丁⽬にも資材置場があるけど⾒ていく?」

調査官「!」

税理⼠「!!(ええっ! そんな置き場があるなんて聞いてない!!!)」

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もちろん『3 丁⽬の良質の⽊材』は、決算書の在庫には計上されていませんでした…。

最後まで気を抜かないように気を付けましょう

『調査が終了する』という開放感からか、最後の最後でつい油断して余計な事を⾔ってしまいがちです。調査官は調査のプロですから、雑談も最後まで⼗分注意しましょう! “ ロスタイム” の失点は痛すぎます!

 

調査初⽇の午前中の会社の概況聞き取り、帳簿を⾒ている間、帳簿調査も終わって、最後の世間話での調査官との雑談で、つい発した余計な⼀⾔から、指摘事項が発覚することがあります。

 

 

社⻑の純粋な⾔動が、税務署には都合の良い結果になることもよくあります。正直でお話し好きな社⻑さんは、税務調査の間だけでも、少し我慢しましょう。

税務調査の時、何故ダメといわれる?

=納税者以外の聞き取りに注意=

税務調査において、調査官が納税者の家族に直接質問してくることがあります。
よくあるケースは、役員報酬や専従者給与の⽀払がある者に対して、実際の勤務状況を聞いてくることです。
ここでは、その専従者給与に関する調査官の聞き取り例を挙げてみましょう。

 

 

●専従者給与について調査官からの聞き取り例
調査のさなか、調査官が勤務中の従業員に歩み寄りました。申告書に専従者として記載されている代表の奥さんについて聞きたいようです。次のような質問をしました。

やり取りその①
調査官・・・・・

「お疲れさまです。いつも奥さんはどういった事をされているんですか?」

 

従業員・・・・・

「え、奥さんですか?⾒たことありませんけど…。」

 

税理⼠(⼼の声)・・・・・
『! あまりよろしくない返答だけど、でもまだ⼤丈夫。“試合” はまだ終わっていません。(イエローカードものだけど…。)後で『⾃宅で帳簿や総務全般の業務、ネット等を活⽤して経営戦略をしていると反論しよう。』

 

とはいうものの、少し雲⾏きが怪しくなってきました…。
次に、調査に⽴ちあっていた代表の奥さん(専従者)に直接話しかけました。

 

 

やり取りその②
調査官・・・・・
「参考までに教えてください。奥さんは事業所でどういったお仕事をされていらっしゃるんですか?」

 

奥さん・・・・・

「え、別になにもしていませんけど…。」

 

税理⼠(⼼の声)・・・・・
『!!『専従者』が「何もしていない」なんて⾔わないで!この返答は⼀発レッドレベル。もうほぼアウトなケースだ…。

 

 

やり取りその③
調査官・・・・・

「でもお給料は、いただいていらっしゃいますよね。」

 

奥さん・・・・・

「ええ?そうなんですか?よくわかりません〜。」

 

税理⼠(⼼の声)・・・・・
『ダメ押し!アウト!試合は終了してしまいました。これは⼤変。反論するのが難しい。否認される可能性が⼤きい…。』

 

 

実際に、従業員と専従者である奥さんに⼀緒に聞き取りするケースはあまりありませんが、
ひとつの流れとしてまとめて例⽰させていただきました。
実際の事例としましては、調査官が直接奥さんに電話して聞取りをしてきたということや、奥さんだけを税務署に呼び出して聞き取りをしようとしたこともあったようです。
このやりとり例のように、調査官の聞き取りによって思わぬ事実が発覚し問題が発⽣することは⼤いにあり得ます。調査官からの質問には必ずなにかを探ろうとする意図が隠されています。思いがけない質問にも『なにを聞きたいんだろう』と冷静にキチンと対処できるよう、内部で事前に打ち合わせや再確認を⾏うようにしましょう。

 

 

=実態が伴わないとダメ!=
税務調査では、基本的に納税者の同意・承諾なしに納税者以外への質問は許されていません。
これも質問検査権の範囲外です。ただ、給料等の受給者には、その⽀給状況を確認する権利はあるようです。
上記の例も専従者本⼈に対して給料の⽀給状況を質問されるのは仕⽅がありませんが、従業員にその本⼈への給料⽀給状況以外のことは質問出来ませんので、本当は従業員に専従者(奥さん)の事を質問することは許されていません。

 

ただ、ここでの問題は、専従者の勤務実態についてです。
専従者給与は、帳簿で正確な給料⽀払いの処理をして、またその源泉所得税をきちんと⽀払っているからと⾔って、それだけで事業主の経費として認められる訳ではありません。
専従者給与には、何点かの要件がありますのでご注意ください。注意点等は次回に。

税務署が突然やってきた!

抜き打ち調査、事前通知なしの調査では…

 

毎年の国税庁の報道発表資料でも、納税者サービスの充実と向上、また税務調査への協⼒のお願い、任意調査での納税者へ事前通知の徹底を掲げています。

 

しかしながら、実際の現場では全体の1 割程度は、抜き打ち調査が⾏われているようです。
通常の任意調査は、事前に顧問税理⼠か会社に電話してきますが、現⾦商売や税務署の収集資料から不正取引が推測される事業所には、事前通知なしに調査官がやってくる場合があります。

 

=任意調査には同意が必要!=
そんな場合でも特に恐れることはありません!
当然ですが、会社にも都合があります。アポなし訪問に付き合う必要はありません。突然来た理由を尋ねて、都合が悪い場合は速やかに帰ってもらいましょう。

国税庁の税務運営⽅針でも、事前通知の励⾏を掲げています。また、顧問税理⼠⽴合いの調査を希望する場合は、その旨も伝えて帰ってもらいましょう。
毅然とした態度を⽰せば、意外にあっさり帰ってくれる場合が多いです。当然ですが、これで後⽇、不利益を被る事はありません!
また、当⽇は帰ることを了承した場合でも、「売上等の帳簿書類を預かりたい」と⾔ってくる場合がありますが、断った⽅が無難でしょう。

 

 

=抜き打ち調査の⽬的とは=
現⾦商売の現況調査の主な⽬的は、前⽇の売上が当⽇の現⾦と合っているかを確認することです。
現⾦商売の場合は、もし脱税している場合でも、過去の資料は整理してきちんと帳簿と現⾦・預⾦残⾼とが合うようにされていれば、数ヶ⽉後に調査に来て脱税を⾒抜くことが難しいからです。

 

しかし、真⾯⽬に経理しているみなさんには全く迷惑な話ですね。調査官の調査能⼒不⾜でこちらが迷惑を被るのは納得がいきませんね。

突然の調査の理由(何か具体的な不正でもあるのか)を聞くと、相⼿は返答に困るでしょうから、「それでは帰ってください。」でいいと思います。
争うのが苦⼿な⽅や、やさしい社⻑さんでしたら、「⽤事があるから」と⾔って外出されるのもいいでしょう。

マルサとリョーチョーって?

『料調⽅式(リョーチョー)』と呼ばれる、国税局資料調4 4 査課による調査です。

 

国税局資料調査課と所轄税務署が合同して予告なしに突然朝9 時ごろに、社⻑⾃宅・本店・各⽀店にやって
きます。

ただ、これはマルサのような強制の調査ではなく、あくまで令状のない任意調査です。ある朝突然、数名(合計10 名以上になることも!)の調査官がやってきたりすると、びっくりしますよね。

 

でも慌てないで下さい。あくまで任意調査です。
まず落ちついて理由を聞くとともに、顧問税理⼠に連絡しましょう。突然来社の調査理由を聞いて、返答がない場合は拒否して帰ってもらってもいいでしょう。

 

しかし、任意調査といってもこの場合はある程度、事前調査等で不正取引をつかんでいる事が多く、拒否すると調査官も事前に調査した内容をちらつかせてきます。

こうなると、ある程度は調査官の話を聞くしかないでしょう。もう切り替えて、負担を最⼩限にとどめる事を考えるしかないかも…。

 

調査のキッカケは、簿外預⾦(役員個⼈名義・⽥舎の親戚名義)や取引先等からの反⾯資料、タレコミ等が主となります。もし来てしまった場合は、数千万円単位の話となってくることが多いです。その場合は、いかに負担を少なくすることが出来るかという⽅法を考えましょう!

 

=リョーチョーはきわめてグレーな任意調査=
リョーチョーはマルサ扱い(⽴件対象)になるかどうかの判断が微妙な場合の調査です。
この実地調査で不正取引が悪質と判断された場合は、マルサ扱いになります。

 

逆に、それほど悪質ではなく、不正⾦額もたいしたことなければ、通常の任意調査に切り替わり、次回の調査からは国税局の調査官は引き上げて、普通の所轄税務署の調査になります。

 

…と、ご紹介させていただきましたが、普通に決算・申告されている社⻑さんには基本的に関係ない話ですのでご安⼼下さい。

 

 

=マルサとは=
マルサとは「国税局査察部」の略で、強制調査をする部署とその調査官の通称です。
強制調査=査察は、「国税犯則取締法」に基づく調査で、通常の任意調査とは根拠となる法律そのものが違います。
つまり通常の任意調査とは全く別個のものと考えていいでしょう。

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