税務調査消費税編
⼀般に、法⼈税や所得税の調査と並⾏して⾏われます
法⼈税や所得税の調査で、売上計上漏れや経費否認が指摘されることがあれば、法⼈税・所得税の修正と同時に、消費税も修正となるケースが多いです。
(1)消費税の課税・⾮課税の確認
所得の計算では経費になったとしても、消費税の計算では税⾦がかかる(仕⼊税額控除ができない)場合があります。⾮課税仕⼊を課税仕⼊として処理していた場合などです。これに関しては専⾨的な知識が必要になります。通常は顧問税理⼠が処理して計算していますので、⼤きな問題が⽣じる事は少ないでしょう。
(2)税⾦が還付される職権更正
消費税は否認されたけど、その分の法⼈税が安くなる場合があります。たとえば、会社が旅費交通費として21 万円を課税仕⼊として、旅費交通費20 万円・仮払消費税1 万円として税抜処理していたとします。
しかし、この21 万円が、海外出張航空代⾦だったら、不課税仕⼊に該当すると指摘され、消費税の修正申告をして消費税の追徴税1 万円を納付することになります。
消費税の修正申告に伴って、会社の利益計算では、旅費交通費が20 万円から21 万円に増え、会社の利益が1 万円少なくなります。このように、会社の利益が減少すると法⼈税の課税所得額が減少し、納めすぎた法⼈税額を返してもらう必要があります。
税務調査において否認事項が指摘され、消費税を修正申告したために法⼈税が過⼤となったときは、税務署⻑が職権で法⼈税の更正処分をすることとなります。
(3)消費税の仕⼊控除要件である帳簿保存の重要性
所得の計算では実質課税が原則ですが、消費税については形式要件も適⽤されますので、請求書および領収書の保存がないと、思わぬ消費税を課されることがあります。
つまり実際には仕⼊や経費の⽀払い時、当然消費税も⽀払っているのにもかかわらず請求書等を保存していなかっただけで、その⽀払った消費税が認められずに多額の消費税を追徴されることになるかもしれません。
(4)多額の還付申告をした場合
多額の貸倒損失や多額の設備投資を計上した場合は、多額の消費税が還付になることがあります。
税務署は税⾦を取るのは⼤好きですが、返すのは嫌いなようで多額の還付申告をした場合は、調査にくる可能性が⾼くなります。
ただこの場合、還付になった内容をピンポイントで確認するだけで終わることが多いようです。
平成27年度税制改正、消費税編
1.消費税率の10%引き上げ時期の変更
消費税率の引き上げ時期が平成29年4月1日に延期されました。
平成27年10月1日に予定されていた消費税率の引き上げが景気判断により延期されました。
今回の税制改正大綱では景気判断条項は削除されており、平成29年4月1日以後の延期はないと思われます。
消費税の軽減税率制度については、平成29年度からの導入を目指して、対象品目、区分経理、安定財源等について具体的な検討が進められており、今後に注目されます。
2. 国境を超えた役務の提供に対する消費税の課税の見直し
(改正前)国外事業者が行うインターネット等を通じた電子書籍、音楽、広告の配信等(「電気通信役務の提供」)については消費税は課されていない。
(改正概要)国外事業者から国内の者へのインターネット等を通じた役務の提供については国内取引と位置付けて消費税が課されることになる。提供される役務が消費者向けであるか事業者向けであるかに応じた課税方式が設けられている。
(1)国外事業者申告納税方式
国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち消費者向けのものについて、役務提供を行う国外事業者が納税義務者として申告納税を行う方法
(2)リバースチャージ方式
国外事業者が行う電気通信役務の提供のうち事業者向けのものについて、役務提供を受ける国内事業者に納税義務を転換して申告納税を行う方法
この改正は平成27年10月1日以後に国内において事業者が行う取引について適用されます。
国外事業者から電気通信役務の提供を受ける国内事業者で一定の方は注意が必要です。
=その他の改正=
車体課税の見直し
○エコカー減税(自動車重量税・自動車取得税)について、減免税車の対象範囲を見直した上で、適用期間を2年間延長されます。
○軽自動車税について、平成27年度に新規取得した一定の環境性能を有する軽四輪等について、その燃費性能に応じたグリーン化特例を導入。二輪車に係る税率の引上げ時期を平成27年4月1日から平成28年4月1日に1年延長されます。
経済産業省の試算では、自動車取得税について230億円、自動車重量税について420億円、軽自動車税について60億円、二輪車について130億円、合計840億円の減税規模としています。
車体課税については消費税率の10%引き上げ時に見直しが予定されています。